②「何かが空を飛んでいる」稲生平太郎 著
「空とぶ円盤」「UFO現象」を扱った本ですが、著者はそれを宇宙人の乗り物と断ずる立場をとらず、かといって妄想と切り捨てもしません。人間が空に「何か」を見てしまうこと、この一点を真摯に捉えた興味深い本です。
円盤目撃者の周囲で起こる、誘拐、小人、黒服の男たち、超能力等々、非常に奇妙で危険な魑魅魍魎の跋扈する世界を、著者は心理学やポップカルチャー、フォークロアや陰謀論など様々な切り口でその背景と影響を軽妙に語ってゆきます。
人の心と目が、空に何かを見てしまう。しかもそれは同時に非常に物質的で生々しい様々な現象をともなっているのがUFO現象の厄介な所であると、「円盤は恥ずかしい」と前置きする著者は言います。
とても面白い本です。
2025.06.10