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④「中国の死神」大谷亮 著
「無常」という中国の民間で古くから信仰されてきた死神を、それが祀られている中国各所にある廟をめぐって調査・考察した本です。
人の魂を取る死神であるのに福の神として祀られ、細長い高帽子を被り、舌をベロリと出して、しばしばノッポとチビのペアで存在するなど、無常のユニークな姿に惹かれた著者が真摯で地道なフィールドワークによってその謎を解き明かしてゆきます。
一つの神格が様々な起源を持つ要素から成り立っていることであったり、民間信仰がその姿を有機的に変えてゆく様を、無常信仰を通して知ることができます。
しかし最終的には、時間や場所を隔てた我々には無常のもつ不思議さの真理には到達しきれない感覚に、奥深い魅力を感じます。

2025.06.12