土の中から掘り出した根っこの皮を一枚剥くときれいな白い木部が見えます。それは彫ることで現れるきれいな木の肌のようです。
よく研がれた刃物で木を彫ると、その肌はとても艶やかになり、
きれいに切られて残った繊維の艶も相まってピカピカに光って見えます。
木を彫り続けると、使っている刃物の切れ味がだんだんと鈍くなり、
刃が思うように動かせず、また表面がきれいに仕上がりません。
刃物を研ぐのは億劫なので、ついつい問題を後回しにしてしまいますが、
ある時点で研ぎ直すと驚くほどよく切れるようになります。
きれいに研がれたピカピカの刃が木をピカピカにするのです。
木彫は、刃物で切ることで木を「彫り」ながら、同時に「掘り」進めることでもあると思います。
きれいに研がれた刃で彫られたピカピカの木彫は、掘り出されたきれいな木の根のようです。
出てきた根
- Year
- 2018
- Type
- 個展
- Venue
- ギャラリーモーニング / 京都